給水の問題は、**「どうやって水を押し上げるか」「飲み水をどう汚さないか」**の2本立てです。 法令の部分は、2026年4月1日時点の水道法・同法施行令・同法施行規則・建築基準法施行令の条文で確かめています。

給水方式の比較

方式 しくみ 受水槽 停電時 給水圧力
水道直結直圧 配水管の水圧だけで給水 なし 給水できる 配水管の水圧しだい
水道直結増圧 配水管に増圧ポンプをつないで押し上げる なし ポンプが止まる ポンプで制御
高置水槽 受水槽 → 揚水ポンプ → 屋上の高置水槽 → 重力で各階へ あり 高置水槽に残った分は給水できる 変動が小さい
ポンプ直送 受水槽の水をポンプで直接各所へ送る あり ポンプが止まり給水できない(非常用発電機がある場合を除く) ポンプで制御
圧力水槽 受水槽の水を圧力水槽で加圧して送る あり ポンプが止まる 変動が大きい

各方式の押さえどころ

  • 直結直圧:停電の影響を受けない。採用できる規模は配水管の水圧で限られる
  • 直結増圧:受水槽がないので受水槽の清掃や水質管理が不要。建物側の水が配水管へ戻らないよう逆流防止装置を設ける。採用できる規模は水道事業者の基準で限られる
  • 高置水槽:圧力は水槽との高低差で決まるので、最上階がいちばん低圧。水槽の設置高さは、最も高い位置の器具に必要な圧力から決める
  • 高層建物では逆に下階ほど高圧になるので、系統を上下に分ける(ゾーニング)か、減圧弁で抑える

圧力は高すぎても低すぎても困ります。高すぎればウォーターハンマーや器具の損傷、低すぎれば洗浄弁やシャワーが正しく動きません。

給水装置とは何か(水道法3条9項)

給水装置=需要者に水を供給するために水道事業者の施設した配水管から分岐して設けられた給水管と、これに直結する給水用具

受水槽を設けると、受水槽から先は給水装置ではありません。 受水槽以降は建物の給水設備として、建築基準法施行令129条の2の4第2項などの規制を受けます。

給水装置の構造・材質の基準(水道法施行令6条1項から抜粋)

内容
1号 配水管への取付口は、他の給水装置の取付口から30cm以上離す
3号 配水管の水圧に影響を及ぼすおそれのあるポンプに直接連結しない
6号 その給水装置以外の水管その他の設備に直接連結しない
7号 水槽・流しなど水を受ける器具に給水するものは、逆流防止の措置を講じる

基準に合わない給水装置には、水道事業者は給水契約の申込みを拒んだり、給水を停止したりできます(水道法16条)。

汚染防止の3本柱

1. クロスコネクションの禁止

飲料水の配管と、それ以外の配管(井水・雑用水・排水など)を直接つなぐことをクロスコネクションといい、禁止されています(建築基準法施行令129条の2の4第2項1号、水道法施行令6条1項6号)。 逆止弁を入れてもつないではいけません。逆止弁は異物のかみ込みや故障で閉まらなくなることがあるからです。

2. 逆流防止

手段 内容
吐水口空間 水栓の吐水口の最下端から、水受け容器のあふれ縁までの垂直距離。これがあれば容器の水が吸い込まれない。最も基本の方法
バキュームブレーカ 給水管内が負圧になったとき空気を入れて、逆サイホンを防ぐ。大気圧式は常に水圧がかからない位置(最終の止水弁より下流)に設ける

3. 受水槽の汚染防止

  • 受水槽の内部に飲料水以外の配管を通さない
  • 周囲から点検できるように設け、建物の他の部分と兼用しない
  • 水抜管・オーバーフロー管は排水管に直接つながない(間接排水)。排水管が詰まったとき汚水が逆流するのを防ぐ
  • 容量が使用水量に比べて過大だと滞留時間が長くなり、残留塩素が減る

残留塩素と簡易専用水道

  • 水道事業者は、給水栓で遊離残留塩素0.1mg/L以上(結合残留塩素なら0.4mg/L以上)を保つよう消毒する(水道法施行規則17条1項3号)
  • 簡易専用水道:水道事業の水だけを水源とし、受水槽の有効容量の合計が10m³を超えるもの(水道法3条7項、同法施行令2条)
  • 設置者は、水槽の掃除を毎年1回以上定期に行い(施行規則55条1号)、登録を受けた者などの検査を毎年1回以上定期に受ける(同規則56条1項)

覚え方のコツ

  • 直圧は停電に強い、高置水槽は圧が安定、ポンプ直送は停電に弱い
  • 高置水槽は最上階が一番低圧」。水槽の高さは最上階の器具で決まる
  • 受水槽から先は給水装置ではない
  • 逆止弁があってもつながない」。クロスコネクションは例外なく禁止
  • 大きすぎる受水槽は塩素が抜ける
  • 簡易専用水道は「10m³超・掃除も検査も年1回

給水方式は長所と短所の裏返しで出題されます。表の「停電時」と「圧力」の列を自分で埋められるようにしておきましょう。