流体の問題は、3つの関係を押さえれば大半が解けます。
- 流れる量は途中で変わらない(連続の式)
- エネルギーの合計は途中で変わらない(ベルヌーイの定理)
- 実際の管では摩擦で圧力が減る(圧力損失)
1. 連続の式 — 細くなると速くなる
管を満たして流れる水は、途中で増えも減りもしません。したがって
流量 Q = 断面積 A × 平均流速 v = 一定
が成り立ちます。ここで大事なのは、断面積は内径の2乗に比例することです。
| 内径の変化 | 断面積 | 流速 |
|---|---|---|
| 1/2 に絞る | 1/4 | 4倍 |
| 2倍に広げる | 4倍 | 1/4 |
| 1/3 に絞る | 1/9 | 9倍 |
例題
内径300mmの管を流速0.5m/sで流れる水が、内径150mmの管に入った。流速はいくらか。
- 内径が1/2 → 断面積が1/4 → 流速は4倍
- 答えは 0.5 × 4 = 2.0m/s
「内径が半分だから流速は2倍」と考えるのが典型的な誤りです。 流量を求める問題では、内径を半径と取り違えないこと、秒と分の換算を忘れないことにも注意します。
2. ベルヌーイの定理 — 3つの水頭の和は一定
摩擦のない流れでは、1本の流線に沿って次の和が一定になります。
| 水頭 | 何のエネルギーか | 式の形 |
|---|---|---|
| 位置水頭 | 高さ | z |
| 圧力水頭 | 圧力(静圧) | p ÷(密度 × 重力加速度) |
| 速度水頭 | 速さ | 流速² ÷(2 × 重力加速度) |
ここから読み取れることは3つです。
- 同じ高さで流速が上がれば、静圧は下がる(細い部分ほど圧力が低い。ベンチュリ管の原理)
- 流れが高い所へ上がれば、位置水頭が増えた分、圧力水頭と速度水頭の和は小さくなる
- 速度水頭は流速の2乗に比例する
空気のダクトでは、同じ関係を圧力の形で扱います。
- 動圧 = 密度 × 風速² ÷ 2
- 全圧 = 静圧 + 動圧
たとえば密度1.2kg/m³の空気が風速5m/sで流れていれば、動圧は 1.2 × 25 ÷ 2 = 15Pa です。 「2で割り忘れる」「2乗し忘れる」が誤答の定番なので、計算のあとに必ず見直します。
3. 圧力損失 — 長く・細く・速いほど大きい
実際の管では、壁との摩擦でエネルギーが失われます。直管の摩擦損失はダルシー・ワイスバッハの式で表されます。
圧力損失 = 管摩擦係数 ×(管の長さ ÷ 内径)×(密度 × 流速² ÷ 2)
比例関係だけ覚えれば、選択肢の正誤は判断できます。
| 条件を変える | 圧力損失 |
|---|---|
| 管を長くする | 比例して大きくなる |
| 内径を大きくする | 反比例して小さくなる(式の上で) |
| 流速を大きくする | 流速の2乗に比例して大きくなる |
曲がり・弁・分岐などで生じる局部損失も、動圧(流速の2乗)に比例する形で表されます。 流速を抑えることが、損失を減らすいちばんの近道です。
関連して出る3つの現象
| 現象 | 内容 | 防ぎ方の方向 |
|---|---|---|
| 層流と乱流 | レイノルズ数(流速 × 内径 ÷ 動粘性係数)が小さいと層流、大きいと乱流 | — |
| ウォータハンマ | 弁の急閉などで流れが急に止まり、圧力が急上昇する。流速が大きいほど激しい | 流速を小さく、弁をゆっくり閉じる、水撃防止器を発生源の近くに |
| キャビテーション | ポンプの吸込み側で静圧が飽和蒸気圧以下に下がり、気泡が発生・崩壊する。水温が高いほど起きやすい | 吸込み管を太く短く、吸込み揚程を小さく |
どれも「流速を大きくすると悪化する」という共通点があります。 選択肢に「管径を細くして流速を大きくすると防止に有効」とあれば、まず誤りを疑ってください。
覚え方のコツ
- 連続の式は「内径は2乗で効く」。内径半分なら流速4倍
- ベルヌーイは「速いところは圧力が低い」。合計は一定なので、どれかが増えればどれかが減る
- 圧力損失は「長さに比例、内径に反比例、流速は2乗」
- 動圧は「密度 × 風速の2乗 ÷ 2」。2乗と÷2をセットで
- ウォータハンマもキャビテーションも「流速を上げると悪化」
計算問題は数値を変えて何度も出ます。手順ごと覚えてしまえば、確実な得点源になります。