建物から出た汚水の行き先は2つです。下水道がある地域では下水道へ、ない地域では浄化槽できれいにしてから川などへ。 この記事の法令は、2026年4月1日時点の下水道法・同法施行令・浄化槽法・環境省関係浄化槽法施行規則の条文で確かめています。

下水道の排除方式

方式 しくみ 長所・短所
合流式 汚水と雨水を同じ管渠で流す 管が1本で済む。大雨のとき、処理しきれない下水の一部が未処理のまま川などへ出ることがある
分流式 汚水と雨水を別々の管渠で流す 汚水は処理場へ、雨水は処理場を通さず川などへ放流するのが一般的

分流式の公共下水道につなぐ敷地内の排水設備は、汚水と雨水を分けて排除する構造にしなければなりません(下水道法施行令8条4号)。 「敷地内は1本にまとめてよい」は誤りです。

敷地内の排水設備(下水道法10条)

公共下水道の供用が始まったら、排水区域内の土地の所有者などは、遅滞なく排水設備を設置します。

項目 誰が行うか
設置(建築物の敷地) 建築物の所有者
改築・修繕 設置すべき者(建築物の敷地なら建築物の所有者)
清掃その他の維持 土地の占有者

公共下水道管理者が行うのではない点に注意します。 また、処理区域内のくみ取便所は、下水の処理を開始すべき日から3年以内に水洗便所に改造しなければなりません(11条の3第1項)。

排水設備の技術基準(下水道法施行令8条から抜粋)

内容
5号 管渠の勾配は、やむを得ない場合を除き1/100以上
7号 汚水を流す排水渠は、原則として暗渠
9号 汚水のます・マンホールには密閉できるふた
10号 雨水だけを流すますの底には深さ15cm以上のどろため、その他のますにはインバート

高温の排水や酸性・アルカリ性の強い排水は管渠を傷めるので、条例で除害施設の設置を求められることがあります(施行令9条1項。温度45度以上、水素指数5以下または9以上など)。

浄化槽の基本

単独処理浄化槽は新設できない

し尿だけを処理する単独処理浄化槽は、下水道の予定処理区域内の例外を除き、設置できません(浄化槽法3条の2第1項)。 新しく設けるのは、し尿と生活雑排水を一緒に処理する合併処理浄化槽です。

処理の流れ(嫌気ろ床接触ばっ気方式の例)

役割
1 嫌気ろ床槽 固形物を分離し、酸素を嫌う微生物で有機物を分解する
2 接触ばっ気槽 空気を送り込み、接触材に付いた酸素を好む微生物で有機物を分解する
3 沈殿槽 汚泥を沈め、上澄みを次へ送る
4 消毒槽 放流する前に消毒する

嫌気 → 好気 → 沈める → 消毒」の順で、だんだん水がきれいになります。

放流水の基準(環境省関係浄化槽法施行規則1条の2)

  • 放流水の BOD(生物化学的酸素要求量)が 20mg/L以下
  • 流入水に対する BOD の除去率が90%以上

(既存の単独処理浄化槽=みなし浄化槽を除く)

設置から管理までの流れ

段階 内容 根拠
設置の届出 都道府県知事(保健所設置市・特別区は市長・区長)と特定行政庁に届け出る。建築確認を申請する場合などは除く 5条1項
着工 届出受理から21日(型式認定を受けた浄化槽は10日)を過ぎるまで着工できない(相当である旨の通知を受けた場合を除く) 5条2項・4項
設置後の水質検査 使用開始後3月を経過した日から5月間に、指定検査機関の検査を受ける 7条1項、規則4条1項
保守点検・清掃 毎年1回(環境省令で定める場合はその回数)。全ばっ気方式の清掃はおおむね6月ごとに1回以上 10条1項、規則7条
定期検査 毎年1回、指定検査機関の水質検査を受ける 11条1項

これらの義務を負うのは、浄化槽の所有者・占有者など管理について権原を持つ浄化槽管理者です。

浄化槽の業

制度 相手
浄化槽工事業 登録(有効期間5年)。営業所ごとに浄化槽設備士を置く 都道府県知事
浄化槽清掃業 許可 市町村長

覚え方のコツ

  • 合流は大雨に弱い、分流は敷地内でも分ける
  • 排水設備は「設置と修繕は所有者、掃除は占有者
  • 勾配「1/100」、どろため「15cm」、くみ取便所の改造「3年
  • 放流水は「BOD 20・除去率90
  • 浄化槽の時間は「21日(型式10日)待って着工、3か月後から5か月間に検査、あとは毎年
  • 工事は知事の登録(5年)、清掃は市町村長の許可

下水道と浄化槽は、施工の知識と法規の知識が重なる分野です。表の数値を条文の言葉のまま覚えておくと、両方の分野で得点できます。