換気の問題は、**「方式の選び方」「工学の計算」「建築基準法の計算」**の3つに分かれます。 法令の部分は、2026年4月1日時点の建築基準法と同法施行令の条文で確かめています。

機械換気の3種類

方式 給気 排気 室内の圧力 向いている室
第1種 送風機 送風機 正圧にも負圧にも設定できる 換気量と室内の圧力を確実に管理したい室
第2種 送風機 自然(排気口) 正圧 汚染空気を入れたくない室(清浄な室)
第3種 自然(給気口) 送風機 負圧 臭気・水蒸気を漏らしたくない室(便所・湯沸室・浴室)

考え方は単純です。機械で押し込めば正圧、機械で吸い出せば負圧。 正圧の室には外の汚れた空気が入らず、負圧の室からは臭いが漏れません。

工学の計算 — 必要換気量の3つの式

目的 必要換気量の求め方
汚染物質の濃度を保つ 汚染物質の発生量 ÷(室内の許容濃度 − 外気の濃度)
発熱を取り除く 発熱量 ÷(空気の密度 × 定圧比熱 ×(許容室温 − 外気温度))
換気回数 1時間当たりの換気量 ÷ 室の容積

例題1(二酸化炭素)

在室者20人、1人当たりの二酸化炭素発生量を0.02m³/h、許容濃度1,000ppm、外気濃度400ppmとする。

  • 発生量 = 20 × 0.02 = 0.4m³/h
  • 濃度差 = 1,000 − 400 = 600ppm = 0.0006
  • 必要換気量 = 0.4 ÷ 0.0006 ≒ 667m³/h

外気濃度を引き忘れると 0.4 ÷ 0.001 = 400m³/h となり、換気量を少なく見積もってしまいます。

例題2(換気回数)

床面積40m²、天井高さ2.5mの室を300m³/hで換気する。容積は100m³なので、換気回数は 3回/h です。 床面積だけで割らないこと(換気回数は容積に対する値)。

建築基準法の計算

居室には換気が必要(法28条)

  • 居室には、床面積の1/20以上の換気に有効な開口部を設ける(28条2項)
  • ただし、政令の技術的基準に従った換気設備を設ければ、この限りでない(同項ただし書)
  • ふすま・障子など随時開放できるもので仕切られた2室は、1室とみなす(28条4項)

機械換気設備の必要有効換気量(施行令20条の2第1号ロ)

V = 20Af ÷ N(V:m³/h)

記号 意味
Af 居室の床面積。特殊建築物以外の居室で換気に有効な開口部がある場合は、開口部の面積 × 20 を床面積から差し引く
N 実況に応じた1人当たりの占有面積。特殊建築物の居室は3が上限、その他の居室は10が上限

例:事務所(特殊建築物でない)の居室、床面積200m²、開口部なし、実況の占有面積が12m²。 N は10を超えるので 10 とし、V = 20 × 200 ÷ 10 = 400m³/h です。 実況の12をそのまま使うと約333m³/hとなり、過小になります。

なお同条1号では、特殊建築物の居室には自然換気設備が使えない(ロからニのいずれかによる)とされています。

シックハウス対策の換気(施行令20条の8第1項1号イ)

Vr = n × A × h(A:床面積、h:天井の高さ)

居室 n
住宅等の居室 0.5
その他の居室 0.3

例:住宅の居室、床面積12m²、天井高さ2.4m → Vr = 0.5 × 12 × 2.4 = 14.4m³/h

自然換気設備の構造(施行令129条の2の5第1項)

  • 給気口は、居室の天井の高さの1/2以下の位置に設け、常時外気に開放する
  • 排気口は給気口より高い位置に設け、排気筒の立上り部分に直結する
  • 排気筒には、頂部と排気口を除き開口部を設けない

火を使用する室(施行令20条の3)

原則として換気設備が必要です。ただし次の室などは除かれます。

  • 密閉式燃焼器具等以外の火を使う器具を設けていない室
  • 床面積の合計100m²以内の住宅の調理室で、発熱量の合計12kW以下、かつ床面積の1/10(0.8m²未満なら0.8m²)以上の有効な開口部があるもの

排気口は天井または天井から下方80cm以内、排気フードは不燃材料で造ります。

覚え方のコツ

  • 押せば正圧(2種)、吸えば負圧(3種)」。便所は臭いを逃がさない3種
  • 汚染物質の式は「発生量 ÷ 濃度差」。濃度差は必ず外気を引く
  • 20Af/N、N の上限は特殊3・その他10
  • シックハウスは住宅0.5・その他0.3
  • 自然換気は「給気は低く、排気は高く、途中に穴なし

計算の式は3〜4本しかありません。例題の数値を変えて自分で解き直すと、本番で迷わなくなります。