空気調和方式の問題は、どの方式でも同じ3つの問いで整理できます。

  1. 何で熱を運ぶか(空気か、水か、冷媒か)
  2. 室ごとに温度を変えられるか(個別制御)
  3. 外気(換気)をどこで取り入れるか

熱を運ぶ媒体で3つに分ける

分類 代表的な方式 特徴
全空気方式 定風量単一ダクト、変風量単一ダクト、二重ダクト 空調機でつくった空気だけで負荷を処理する。ダクトが太く、スペースが大きい
空気・水方式 ダクト併用ファンコイルユニット ダクトの空気と、ユニットへ送る冷温水の両方で処理する
冷媒方式 マルチパッケージ形空気調和機(ビル用マルチ) 室外機と室内機を冷媒配管で結び、冷媒が直接熱を運ぶ

水は空気よりはるかに多くの熱を小さな断面で運べます。 だから水や冷媒を使う方式ほど、ダクトのスペースを小さくできます。 その代わり、室内に配管が入るので漏水やドレン排水の対策が必要になります。

全空気方式の比較

方式 しくみ 長所 短所
定風量単一ダクト(CAV) 風量を一定にし、吹出し温度を変えて室温を調整 換気量と気流分布を確保しやすい。機器が機械室に集まり保守しやすい 系統内は同じ吹出し温度なので、室ごとの温度制御が難しい。低負荷時も全風量を送るので搬送動力が大きい
変風量単一ダクト(VAV) 室ごとの変風量ユニットで吹出し風量を変えて室温を調整 室ごとに制御できる。低負荷時に風量を減らし送風機動力を節減できる 風量を絞りすぎると外気量不足や気流分布の悪化が起こりうる
二重ダクト 冷風と温風を別々のダクトで送り、混合して吹き出す 室ごとの温度制御性がよい 冷やした空気と暖めた空気を混ぜるのでエネルギー損失が大きい。ダクトスペースも大きい

CAV と VAV は、**「何を変えるか」**の違いです。CAV は温度を変え、VAV は風量を変えます。 「VAV は低負荷時も風量が一定で気流が安定する」という記述は、CAV の特徴と入れ替えたひっかけです。

水・冷媒を使う方式の比較

方式 長所 短所・注意点
ファンコイルユニット(FCU) ユニットごとに発停・風量切替えができ、個別制御しやすい。ダクトスペースが小さい ユニット自体はほとんど外気を取り入れないので、外気は外気処理空調機や全熱交換器で別に供給する。室内に水配管とドレン配管が入る
マルチパッケージ形 室内機ごとに発停・温度設定ができる。熱源機械室が不要 冷媒配管の長さと高低差に制限がある。換気は全熱交換器などで別に行うことが多い
放射冷暖房(パネル) 気流感が少ない。暖房時に上下の温度差が小さい 冷房時はパネル表面の結露を防ぐため表面温度を露点より高く保つ。除湿(潜熱)と換気は別の設備で処理する

ファンコイルユニットの2管式と4管式

配管方式 内容 使い方
2管式 往き・還り1組で、冷水か温水のどちらかを送る 系統全体を冷房か暖房に切り替える
4管式 冷水と温水の往き・還りを別々に持つ 同じ時期に室ごとに冷房と暖房を選べる。配管が多く設備費は高い

ゾーニングの考え方

建物は、負荷の性質が違う部分ごとに系統を分けます(ゾーニング)。

ゾーン 負荷の特徴
ペリメータ(外周部) 日射と外気温の影響を強く受け、時刻や方位で負荷が大きく変わる
インテリア(内部) 外気の影響が小さく、照明・人・OA機器の発熱があるので、冬でも冷房負荷が主体になりやすい

「内部ゾーンは年間を通じて暖房が主体」という記述は誤りです。

外気と省エネの関連知識

  • 全熱交換器:排気と取入れ外気の間で、顕熱と潜熱の両方を交換して外気負荷を減らす。厨房や便所の排気は通さない。外気が涼しい中間期は熱交換しない運転に切り替える
  • 外気冷房:外気が室内より涼しいとき、外気をそのまま取り入れて冷房に使う

覚え方のコツ

  • CAV は温度、VAV は風量」を変える。VAV の弱点は「絞ると外気不足」
  • 二重ダクトは混ぜるから損
  • FCU もマルチも、外気は別」。室内機単体で換気はできない
  • 2管は全館切替、4管は室ごと
  • インテリアは冬でも冷房

方式ごとの長所・短所は、裏返すと別の方式の特徴になっていることが多いです。 表を横に見比べて、「この短所を解決したのがどの方式か」を言えるようにしておきましょう。